「悪すぎるって……晴人がですか?」
私の声は震えていた。
健先輩はふぅ、とため息をつく。
「だから彩花には帰って欲しかったんだ」
「健くん、何を言い出すの……」
里美先輩も悲しそうな顔をする。
健先輩だけが冷静な顔をしていた。
「彼が悪い人間じゃない事は、僕だって知ってるさ。だけど、あの見た目で、あれだけの話題を提供してしまったら……挽回は難しい。周りは彼の表面しかわからないからね。だから里美は彼とつきあい続ける限り、同類として見られてしまう」
「そんな……生まれつきの顔をどうしろって言うんですか!大きくなったのだって、晴人がわざとやったわけじゃないのに!」
声を荒げると、健先輩は眉をひそめた。
イライラしてきてるのが、その態度でわかる。
「だから……話がややこしくなるから、帰れって言ったんだ」
吐き捨てるように言うと、里美先輩まで泣きそうな顔をした。
そんな里美先輩に、健先輩は話す。
「……僕も彼の事は言えないけど。里美とつきあう事になった時点で、服装くらいは改めると思うよ。周りに何やかんや言われるのは、里美だからね。だけど彼はピアスはつけたまま、髪型も制服もだらしなさすぎる」
「……個人のファッションにまで、口出さなくても……」
「違う、そうじゃない。彼が本当にお前が大事なら、目立たないように努力をして当然じゃないかと言ってるんだ」
お前……。
健先輩が、里美先輩をお前って言った。
晴人を、悪く言った……。
「待ってください……。それなら晴人に、改めさせます。晴人は、里美先輩が、本当に好きなんです」
「今更、遅いよ」
「待って、健くん。私も、その指示には従えないよ」
「だから、学校の人間に見えないところでは、好きにすればいい。見えるところでは、別れたふりをしろ」
「そんな……」
里美先輩は、うなだれてしまった。
「大体、おかしいだろ。こんな人目につくところで。彼がいい加減な証拠じゃないか」
健先輩が、とん、と机の上のビラを指で叩いた。
晴人と里美先輩のキスシーンを。



