それから何日経っても、私は言い出せなかった。
ただ優しい健先輩の事を信じたいと思っていた。
でも、本当は、勇気がないだけだった。
事実を聞くのが怖い。
そんな気持ちが、大半を閉めていた。
そんな気持ちとは関係なく、生徒会の集まりで、毎日二人に顔を合わせなくちゃならない。
今日も憂鬱な気持ちで1日を乗り越えた時、事態は動き出した。
生徒会を終え、私達3人が残って、いつものように里美先輩が先に部屋を出ていこうとした時だった。
「里美、ちょっと」
健先輩が、口を開いた。
「うん?なに?」
里美先輩は普通に受け答える。
それだけでモヤモヤしていたら、健先輩は意外な言葉を口にした。
「話がある。彩花ごめん、先に帰ってくれるかな?」
健先輩は少し、申し訳なさそうな顔をした。
それを聞いて、里美先輩が眉をひそめる。
「なに?どうしたの?」
「二人で話したい事がある」
「……彩ちゃんの前で話せないような事?」
私達二人に顔を見られた健先輩は、小さなため息をつく。
「……そうだね」
何それ……。
里美先輩は私に気を使って、素っ気なく話す。
「……電話じゃだめ?私、人を待たせてて……」
「なるべく、直接がいい。待ってるのって、晴人くんだろ?彩花、うまく言って一緒に帰ってくれないか」
また、そんな事を言う。
里美先輩が困った顔で、言い返した。
「ここではっきり言って。彩ちゃんに隠さなきゃいけないような事、話したくない」
鼓動が、早くなっていく。
怖い……。
健先輩の顔が、不快を表す。
「じゃあ言うけど」
声が、少し低くなった。
さらに私の不安は増していく。
「里美、キミもイジメを受けてるだろ?」
私と里美先輩は目を見はった。
「彩ちゃんが話したの……?」
「違います、私何も……」
「なんだ、彩花は知ってたのか」
そう言った健先輩の目は、優しくもなく意地悪でもなく、ただ冷たく光った。



