次の週の土曜。
俺は急にバイト先に呼ばれてしまった。
来るはずだった大学生のバイトの都合が悪くなったらしい。
ちなみに彩花は、前の休みにメガネとデートに出かけた。
それでパワーを充電したのか、今は普通に学校に通っている。
『晴人が脅したおかげで、クラスの子からは何もされてないよ』と彩花は笑った。
バイトは、近所のガソリンスタンド。
勤務を終えた時は、もう夜9時だった。
「お疲れ様です」
最近親父から譲り受けた、お下がりのバイクに乗る前に携帯を見たら、珍しく彩花からメールがきていた。
『明日友達が来るから、お菓子買ってきて』
って、俺はパシリかよ…………。
まぁ、元気なら良いか。
1週間前は見ていられないくらいへこんでたもんな。
コンビニに寄り、適当に菓子を選んで、レジに向かうと。
「げっ」
レジにいた店員の顔を見て、思わず声が出てしまった。
「あっ、アニキ」
コンビニの制服を違和感なく着こなしていたのは、三井だった。
「当店では、未成年のお客様にはタバコの販売はできませんが」
「いらねえよ」
三井はニヤニヤと笑いながらレジを打つ。
名札に、『アルバイト』と書いてある。
あまり寄らないコンビニだから、三井を見たのは初めてだった。
三井は器用にビニール袋に商品を入れると、俺から受け取った札をレジに入れ、釣り銭を渡す。
その流れはスムーズで、三井がここでバイトを始めたのは、昨日や今日でない事を示していた。
「アニキ、今日はこれだけ?もっと買ってよ」
他に客がいないせいか、三井は気安く話しかけてきた。



