「そっちがどんな気だろうが、私は晴人くんとあの人が一緒にいるだけで傷つくの」
そんな事言われても、じゃあどうすりゃ良いんだよ。
俺のそんな思考を読み取ったかのように、美奈子は俺をにらんだ。いつもの強い眼差しで。
「これは私の勝手な気持ちだから。晴人くん達も好きにすれば良いよ。って、私に言う権利もないしね」
権利もない、と言いながら、その上からものを言う態度にイライラした。
「……なら、もう俺に関わるなよ」
「わかってる。じゃあね」
美奈子は一方的に話を終わらせると、さっさと歩いて行ってしまった。
「何だありゃ……」
本当に女ってやつは、理解に苦しむ。
俺は頭をかいて、和樹の元に戻った。
「ハッキリ言ってやった?」
「おう……けど、めんどくせぇなあ、女ってやつは」
「ねぇ。友達が来るとは思わなかったよ」
はぁ、とため息が出た。
一気に疲れたような気がする。
「あ……あれ、里美先輩じゃない?」
「あぁ?」
和樹に言われてグランドの方を見ると、スタートラインに里美が立っているのが見えた。
他のどの選手より小さい。
何だかプルプル震えているように見える。



