「……本人はどこにいる?」
「え?あっちだけど……」
女はクラスの応援席の方を指した。
確かに、長い髪を頭の上で束ねた美奈子が座っている。
俺はそちらに歩き出した。
「おい、ちょっと」
後ろから声をかけると、美奈子は驚いた顔で振り返った。
手招きすると、のっそりとこちらに来た。
「ちょっと来い」
俺がでかいせいで、どうしても目立つ。
だから、なるべく人目につかない運動場のすみに、連れていった。
「晴人くん……何?」
美奈子は震える声で聞く。
罪悪感はあるが、こんな微妙な状態を続けるのはうっとうしい。
俺はなるべく穏やかな声を出すように心がけた。
「……もう知ってると思うけど、彼女ができた」
美奈子は悔しそうな顔でうつむく。
「だから……悪いけど、もう友達以上にはなれない」
なるべく傷つけないような言葉を探すが、うまく思いつかない。
「……今、お前の友達に言われたけど……。別に、見せつけようと思ったわけじゃないから」
そこまで言うと、美奈子は突然顔を上げ、「もう良いよ」と言った。



