俺は照れくさくて黙ってうなずき、注意される前に、スタートラインに戻った。
一回目。助走をつけ、地面を蹴る。
「げっ!」
直前で躊躇してしまい、明らかにジャンプが低くなった。
「いてっ!!」
ぼす、とマットに埋まる体で、バーを下敷きにしてしまった。
「クソッ!」
すぐに立ち上がり、二回目に挑戦する。
「ふぅ……」
イケるはずだ。
飛び蹴りの要領で、飛べば良いんだ。
里美が応援してくれている。
手を抜くわけにはいかない。
──ピイッ。
笛の音がした。
地面を蹴り、助走をつける。
1、2、3……
行け。
あのバーの向こうに、敵がいると思え!
「オラァッ!」
全身のバネを使って、宙に浮かび上がる。
目の前には、空の青だけが見えた。
「……っと……!」
最後の最後、自分の踵とバーが重なって見え、とっさに膝をのばした。
──ぼすん!
間抜けな音がして、気づけばマットに転がっていた。



