「陸上部もヤバイのかよ……」
俺はピアスを外した。
右の耳たぶに3つ、軟骨に2つ。左の耳たぶに2つ、軟骨に1つ。
変な態勢でコケたら、怪我の可能性があるから。
「和樹……」
和樹に持っていてもらおうと思ってそちらを向くと、いつの間にか、里美がその横に立っていた。
和樹とヒナが里美を挟み、ニヤニヤしている。
目があった里美は、困ったようにふにゃりと笑った。
そちらに気をとられていたら。
──カシャン!!
「あぁ!」
相手が、バーを倒してしまったらしい。
現場は見なかったが、陸上部の悔しそうな声と、はずれたバーがそれを示していた。
俺は覚悟を決め、たった三人の応援団のところに駆け寄った。
「手ぇ出せ。両手」
「はい?」
ニヤニヤしている和樹とヒナを無視し、里美にだけ話しかける。
里美は驚いたようだが、おずおずと両手を差し出した。
「持っててくれ」
外したピアスをゴロゴロと、里美の小さな両手に転がした。
里美はそれを手で包み、小さな声で「がんばってね」と、応援してくれた。



