「あぁ……気にすんな。勝手にやった事だし」
「気にしないわけないでしょ!私の気も知らないで!」
「はぁ?」
何か、怒ってる。
だけど怒られる意味がわからない。
「私、晴人くんは彩ちゃんを好きなんだと思ってたの」
「……はぁあ!?」
何だって!?何でいきなりそんな話になったんだ?
「だって、プールのとき、優しい目で見てたから。演説の時怒鳴ったのも、写真事件で怒ったのも、彩ちゃんのためだって……」
「やめろ、気色ワリイ!ありゃただの妹だ!」
「だって、知らなかったんだもん!」
……びっくりした。
里美がこんなに大きな声を出すとは思わなかった。
彼女は呼吸を落ち着けるが、相変わらず赤い顔で口を開く。
「彩ちゃんの制服に白猫の毛がついてるのを見た時……晴人くんの家のユキちゃんの毛だって、何でか、わかったの。あぁ、家にまで出入りする仲なんだって思ってた。しかも、美奈子ちゃんにまで好かれて、晴人くんすごいなって……」
「なんだそりゃ……だから、何の話だよ」
そう言うと、里美は顔を上げて、俺をにらんだ。



