あまりにうるさいので、様子を見に行った母親の目の前で、彩花は野良犬に噛まれそうになった。
母親が何とか追い払ったおかげで、彩花は無傷で済んだんだ。
そのことを、今、ハッキリと思い出した。
「どこに居る……?」
彩花が危ない――。
根拠の無い黒い渦の予感を、俺は確信していた。
何が起こるかは、わからない。
しかし、悪い予感はどんどん増して、胸を乗っ取っていく。
どこだ。
俺はやみくもに校内を歩き回った。
そして、生徒会室の近くの廊下で彩花を見つけて、話をした。
しかし、彩花に信じてもらえないばかりか、思いきり拒否された。
そして――。
生徒会室のドアを開けてしまった俺達は、メガネと里美がくっついているところを見てしまった。
何故かは、わからない。
ただ本能が、それを見るのを拒否した。
さっきまでの不安とはまた別のモヤが胸を潰す。



