「あはは、和樹くんよく飛んだ~」

「テメェも笑ってんじゃねぇ!」


和樹が落ちたドサッと言う音が背後で聞こえたが、無視して屋上を後にした。


何だあいつら。俺の居場所を奪いやがって。


ザワザワする校舎の中を早足で歩いていると、また会いたくないやつに会ってしまった。


「あ、来てたの?」


美奈子だ。声は普通だが、顔にいつもの明るさはない。


「……ミスコン出なきゃ写経だからな」


「あぁ、また騒ぎ起こしちゃったもんね」


その声は、冷たく響いた。


「……まぁな」


「里美先輩、かばったんだよね」


ため息が出る。どいつもこいつも、それしか話題がねぇのかよ。


美奈子がさらに口を開こうとした時。その後ろから、またウザいヤツがヘラヘラ笑ってやってきた。


「あっ、アニキ♪」

「三井先輩!」