くそ……三井みたいに、『アンタが一番可愛い』と、言えたら良いのに。
「私の方、見てなかったクセに」
彼女は口をとがらせる。
「無視されて、寂しかったなぁ。あの女の子の中に、好きな子でもいるの?」
なっ……何だそりゃ!
「いねえよ、そんなもん!」
何でアンタが寂しかったんだよ。
「ただ、アンタは俺みたいなのと関わってるって思われたくないだろうと……」
暑さによるものとは別の汗がふきだした。
必死で弁解しているのに、新川先輩はキョトン顔で俺を見上げる。
「何でそうなるの?」
「は?」
「別にあたし、武内くんと友達だって皆に知られても平気だよ?」
平気って……身内にさえ嫌がられてるのに?
「本当に凶暴な人が、雨から守ってくれたり、猫を可愛がってくれたりする?」
ねぇ、と彼女はユキにも話しかけた。
だから……やべぇって。
俺は、アンタが思うほど、優しくない。
困ってるのがアンタじゃなければ、見て見ぬふりだったかも知れない。
なのに、アンタに肯定されただけで、こんなに嬉しい。



