やがて集合場所に戻る途中、ゾウの形の小さな滑り台がある子供用プールにさしかかった。
「……あれ?」
三井先輩が足を止める。
その視線を追うと、4歳くらいの男の子が、一人でベソをかいていた。
「どうしたんだろ……」
「迷子かな。おーい、どうしたのー?」
三井先輩はためらいもせず、子供に駆け寄る。
私はびっくりして、その後を追った。
「どうした?迷子か?」
突然知らない人にのぞきこまれた男の子は、少し怖がったみたいだったけど、少しずつ話しだした。
「ぼくじゃないよ……ママが迷子なの……」
「そーか、ママが迷子か……」
「困ったね……」
「彩花ちゃん、先に戻ってて。俺はこの子を迷子センターに送るから」
三井先輩は意外にも、真剣な眼差しでそう言った。
「でも……」
「遅れたら皆が心配するから。な、おにーちゃんとママ探しに行こうな」
優しく笑いかけられた子供は、小さくうなずいた。
私までつられてうなずいてしまいそうになるほど、その笑顔は優しかった。
健先輩と逆だ。
普段はチャラいけど、いざというときは優しいんだ。
少し嬉しい発見だな。
私は三井先輩に手をふって、集合場所に急いだ。



