確かにヒナは彩花の友達だから、普通にしゃべってるけど。
しかし、何だ?この、有無を言わせない圧力は。
この手の事に慣れているのか知らないけど、正直苦手だ。
「まぁ……そういう事なら……」
「本当?ありがとう。じゃあ、何でもいいから今度連絡してね!」
女はにこりと笑うと、スカートを翻し、教室に帰っていった。
俺は、ただただ戸惑うばかりだった。
「そりゃ完全に狙われてんだろ」
放課後、和樹に相談したら、あっさりそう返してこられた。
「……やっぱりそうか?」
「当たり前じゃん。いずれは付き合いたいから、仲良くなりたいんだろ」
「そんなもんなのか……」
教室から見える空に、雨雲がたれこめている。
「降りそうだな……」
「うん……あっ!」
和樹は突然廊下に向かって笑いかけた。
そこには教室をのぞきこむようにして、女が立っていた。



