「……どうも」
一応礼を言って、その場を去ろうとしたとき。
「晴人くん、手紙見てくれた?」
その女は、明るい声ではっきりと話しかけてきた。
「手紙……?あぁ、彩花の……」
名前、何つったっけ……。
「……悪い、1週間くらい前にちゃんと受け取ったんだが、何て返していいかわからなくて……」
「そんな事だと思った」
女は、ふふ、と笑った。
責められない事に少し安心する。
初めて会ったが、彩花の言っていた通り、確かに見た目はいい。
すらりと伸びた背に、ロングヘアがよく似合っている。
「いきなり付き合ってなんて、言わないよ?あたし、晴人くんの事、見た目しか知らないし」
「じゃあ……」
「だから、もっと晴人くんの事を知りたいの」
よどみのない目線。
それが、これはドッキリではない事を物語っていた。
「だから……ヒナちゃんと同じように……友達として、接してくれないかな?」



