そして。
「っらぁ!!」
──ゴン!!
「ぐぁっ!!」
相手の額に、自分の額を打ち付けた。
いわゆる、頭突きだ。
「テメェっ、何すんだ!」
相手が崩れ落ち、その仲間が殺気立った時、野次馬の中から教師が現れた。
「武内!またお前か!」
男性教師は、俺だけに牙をむいてきた。
そりゃ、この状況だけ見ればそうなるよな。
入学式から演説の時、球技大会。
ちょっと目立ちすぎたか。
家に連絡されたら面倒だ。素直に従うか。
そう思っていたら。
「先生、武内くんはやり返しただけですよ!」
野次馬の中から、一人の女が前に出た。
黒いロングヘアの、知らない女。
「と言うか……絡まれたから、つい、だよね?」
「あ、おう……」
「皆、見てたよね?」
女は周りにいた友達に話しかける。
彼女らは皆、うんうんとうなずいた。
「そうか……まぁ、じゃあ、喧嘩両成敗だな。ほら、全員行った行った」
面倒臭そうな教師の声で、絡んできた2年生も野次馬も、教室に戻っていく。
残されたのは俺と、ロングヘアの女。



