ガルドラ龍神伝―闇龍編―

「そうだな」


四人は早速、懐中電灯を鞄から取り出した。


彼女達は、警戒しながら進んでいる。


まっすぐ十五メートル行った先にも、邪悪な形相をした悪霊達がいる。


その数は、この魔界に住む龍魔族や魔道族と同じくらいと思われる程だった。


「こんなにたくさんいるんじゃ、キリがない。ここからは悪霊達をスルーして、プレシオちゃんを捜すのに専念しよう」


「ああ。それが利口な進み方だね」


「そうかしら? さっきの悪霊達の態度や仕種から考えると、そうも言ってられない、と私は思うけど」


ナンシーだけが、リタの意見に反対した。


彼女は、口では闘争心を燃やしているように言っているけれど、内心では仲間を悪霊達の餌食にしたくないと思っているのだ、とリタは思った。


リタが立てた作戦の通り、悪霊達を無視しながら、四人はとても深い溝がある部屋に出た。


悪いことに床がどこにもなく、到底五メートル先にある扉までは、歩いて渡れない。


「どうしよう。行き止まりだ……。それにちょっと怖いな」


あまりにも溝が深いためか、ヨゼフは思わず弱音を吐く。


「何弱音を吐いてるのよ、ヨゼフ。


あなた、それでも水龍戦士?


それに五メートル先に扉が見えてるのに、行き止まりのはずがないわ」


ナンシーはいつものように意地を張り、扉がある方向を指差してヨゼフに言う。


ふと、リタはあることを思いついた。


「私に良い考えがある。


私とヒアの飛行能力を使って、ヨゼフとナンシーを運ぶのはどう?


そうすれば、四人一緒に行けるし」


「そうか! 極簡単なことなのに、思いつかなかったな。じゃあ、早速試してみよう」


リタはナンシーを、ヒアはヨゼフを抱えて、深い溝の上を飛ぶ。


「途中で、急に離さないでね」


「そんなことする訳ないだろう? ナンシーは、本当に疑り深いな……」


リタはぼそっと本音を言いつつも、ナンシーを離さずにまっすぐ進む。


彼女達の方が、先に扉の前に着いた。


後からヒアがヨゼフの鬣を引っ張りながら、扉の前で着地する。