九人はふむふむと頷いている。


「ここがログテル砂漠か。


だとしたら、僕達はレザンドニウムから、かなり飛ばされたことになるね」


華龍戦士ニアロスは、不思議な発言をした。


彼の言っていることが正しいかどうかを確かめるために、水龍戦士ヨゼフは黄色いカーペットの上で地図を広げる。


その地図によれば、レザンドニウム領国からログテル砂漠まで、十三キロもあるという。


それを見て一同は、顔が青くなった。


(じゅ……十三キロも?


よくこんなに飛ばされて、僕達は平気だったな)


ヨゼフは自分達の無事に感心していたが、それがリタの親族のおかげであることを忘れなかった。


ヨゼフが地図をリュックにしまった瞬間、彼の胸元に隠してつけている青い雫型のペンダントが輝き始めた。


「ヨゼフ、そのペンダントは何?」


岩龍戦士リアスが、不思議そうに青く輝くペンダントを見て、言った。


「これは、僕がリタ達と一緒にアヌテラを発つ時、ラノア族長がくれた、≪雫のサファイア≫っていう宝石だ」


しばらく十人が≪雫のサファイア≫という宝石の輝きに見とれていると、メイドらしき女性が十人分の食べ物と飲み物を持ってきた。


「リタ殿下、ただいま、食べ物と飲み物をお持ちしました」


「ありがとう。そこに置いといて」


リタはメイドと当たり障りのない挨拶を交わし、銀の盆を九人の所まで運ぶ。


銀の盆にはフルーツポンチやサラダ、そして苺のケーキや紅茶があった。


早速彼女達は、サラダをつまむようにして食べる。


その時、雷龍戦士ペレデイスが、九人に先程の現象についての話を振る。


「なあ、ヨゼフはあの現象についての話を、聞いたことがあるか?」


ペレデイスが訪ねると、ヨゼフは首を横に振った。


彼の代わりに、火龍戦士ナンシーが答える。


「その話、私達火龍族に語り継がれてる話にあったわ」


ナンシーの発言に、一同が目を丸くした。


「そ、それは本当なの、ナンシー?」


風龍戦士ビオラが訪ねたのに対し、ナンシーは首を縦に振る。


「でも、聞いたのは五歳の頃だから、記憶が曖昧だけど……」


ナンシーは言葉を詰まらせた。