ツーリアン大臣の言葉に続いて、リタが作戦会議を進行する。


「龍戦士がこうして十人揃ったことを、大変嬉しく思います。


フィブラスの王女として、砂龍戦士として、魔界を守るために戦っていきたいと思います」


こうして、リタと他九種族の代表者達による、作戦会議が始まった。


「まず、どうやってあの領主と戦うか?


ただ闇雲に斬りつけるだけでは、殺害しかねない。


そこで、私はできる限り彼を説得しようと考えました」


リタは、自分の意見を皆に伝えた。


それに対し、ヨゼフが挙手する。


「僕はその意見には、反対だ。


なぜならキア領主は、僕の家族だけでなく、ナンシーの両親、そしてヒアの両親をも殺害した。


仮に領主がアルエスの魂に取り憑かれてるだけだったにしても、その罪領主自身のものになるから」


ヨゼフは以前の出来事を踏まえたうえで、自分の意見を言った。


それに対し、ヒアが反論する。


「俺はリタに賛成だ。


確かにヨゼフが言ってることは一理あるが、君は少々、領主を憎みすぎてる。


俺も前は本気で、領主の配下が両親を殺したのかと思ってた。


だけど、今はアルエスこそが全ての発端なんだと思ってる。


違うか?」


ヒアは今の時点で言える限りのことを、ヨゼフに言った。


ヨゼフは考えた。


(確かに、ヒアの言う通りかもしれない。


僕は弟を殺された怒りで我を忘れ、そして魔道族に対して感情的になってたのかもしれない)


ヨゼフは先程自分が言ったことを振り返り、考え直す。


その時、ビオラが挙手して、意見した。


「これは、あくまであたしの意見にしかならないけど……。


龍戦士隊を作るというのは、どうかしら?」


彼女の言葉に対し、華龍族のニアロスが反論する。


「ビオラ、ヒアが言ってるのは、そういうことじゃなくて……」


「わかってるわ」


ビオラはニアロスの言葉を遮り、きっぱりと言った。


他の龍戦士達はしばらくの間、沈黙した。


先にその沈黙を破ったのは、風龍族のビオラだった。


「わかってるけど、万が一アルエスと戦うようになった時のために、臨時で戦士隊を作っておいた方が良いかな、と思って意見したの」


ビオラは、先のことを心配しているかのように言った。


会議はいつの間にか作戦のことを後回しにして、龍戦士隊の結成及びその名前のことに話が変わっていく。