「待って、行かないで……!!」 走って追い掛けると、黒い靄に包まれた。 「いやっ…卯月…卯月ぃ!!!」 パンッと靄が晴れて、目の前に卯月が居た。 「卯月っ………!!!!」 「わっ…」 うちは卯月に抱き着いた。 「おま…どこ行ってたんだよ…!!」 卯月が私の肩を掴む。 「わかんな…」 卯月が目の前に居るってだけで、安心しきって泣いてしまった。 「もうすぐゴールだ」 卯月は泣きじゃくる私の手を掴んで歩きだした。