「ごめん、やっぱ別れよう」 10月の半ば。 銀杏が綺麗だな、なんて思いながら、私は言った。 霜月に向かって、初めて会って言った。 今まで電話でしかこういう話をしなかった。 逃げていた。 「睦月…何で………」 別れようと決めたのは、よく恋の相談をした花音ちゃんと数学の先生と話したから。 やっと、自分の想いに気付けた。 いつもちょっとだけ、私の中にわだかまりを作っていた霜月という存在。 曖昧で、はっきりしなかった。