「な、何?」 声の主は間違いなく編集長。 チラと見遣ると、編集長の前で梓がかなり落ち込んで立っている。 「本当にすいません!」 「村形さんは?」 「もう2度と来るなって……」 「あの人は頑固だからな……今月の特集は無理か」 トラブルがあったらしい。 編集長は自分の頭に手を添えて息を吐いた。 梓は今にも泣き出しそう。 「…………」 「すいません……」 「分かった」 編集長はぽつりと呟くと、すぐに電話を手にする。