「じゃ、目閉じて」 途端に嬉しそうな顔。 「…にやけてるけど」 「えへ、そう?」 「…下心見え見え」 「あはは、男子高校生ですから」 にこにこにこにこ、楽しそうな奏多。 こんな状況で、どうして緊張せずにいられるのか。 わたしはドキドキを隠すので必死なのに… 「ゆりちゃん」 名前を呼ばれ、奏多の顔が近づいてくる。 …あと、数ミリ。 ふっと、周りの音が消えた気がした。 「―――…ゴホン」 え………