ガラッ――― 「奏多!!」 学校に着いてまっすぐ、2階へ。 奏多のクラスのドアを、勢いよく開けた。 『なになに?』 『あの人誰?』 『いつも葛原と一緒にいる人じゃね?』 『あー、3年の』 ざわざわと、クラス中がわたしに注目。 …当然のことだけど、ふと冷静になると一気に恥ずかしくなる。 「ゆりちゃん?」 わたしに気付いた奏多が、教室の隅から歩いてきた。 「奏多に話があるの」 ぐっと唾を飲み込んで、口を開く。 「…分かった。ちょっと出よう」 笑うことはない表情で、奏多は頷いた。