「本当に…好きなんだよ?」
だからあたしだって好きなんだって。
だけど言ったら、玲くんまた悲しそうな顔するでしょう?
「もっと"好き"を重く受け止めてよ?」
思わず顔を上に上げたら、鳶色の瞳は切なげに揺れていた。
「そんなに簡単な"好き"じゃないんだよ?」
魅入られたようにあたしは固まって。
「僕は…本当は"お試し"なんかじゃなく、僕は…」
その時。
ガコンと凄い音がして、観覧車の動きが完全に止まった。
凄い雨が降っている。
いつの間にか嵐だ。
あたしは慌てて玲くんから身体を離して、地上を見た。
櫂が居る。
こんな雨なのに、櫂がずっとこっちを見ている。
煌が櫂に話しかけているけど、櫂は動かない。
――芹霞ちゃあああん
「櫂が…泣いてる」
あたしは思わず声に出した。
「どうしよう、何だろう…櫂が泣いてるみたい」
早く…行きたいけれど、観覧車は動かない。
頂上にあと少しというところで完全停止。
「玲くん…早く降りよう?」
すると玲くんは、悲しそうに微笑んだ。
「君は…櫂の処に行ってしまうの?」
「え? 櫂が泣いてるから…」
「僕より…櫂を選ぶの?」
それは悲痛な声だった。

