Rest of my Prince

芹霞Side
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突然櫂に名を呼ばれて、突然頬を抓られて。


突然腕を掴まれて…連れられたのは「ミラーハウス」。


以前突き進んだ"鏡の迷宮"は今も尚健在らしい。


あちこちで、ゴツンだのガツンだのいう擬音語と、

きゃあだとか痛いだとかいう悲鳴が聞こえてくる。


だけど櫂はこんな処に連れてきてどうしたのか。


だって判っているじゃない、出口はまっすぐ進めばいいこと。


だけど怒っているのかむすっとした表情のままで、すたすたと歩くその道筋は直線ではなく、左に折れ右に折れ、直線に進んで…よく鏡の壁にぶちあたらないものだ。


櫂は此処をアトラクションとして改良した際、正解の道を変えたらしい。


正解を知っていて、何故にこんなに急いで歩くのか。


「櫂? ねえ…どうしたの?」


溜まりかねて、あたしは立ち止まり、櫂の腕を振り解く。


「何も言わなかったら判らないじゃない。あたし何かした?」


すると櫂は、片手を腰の位置に添え、反対側の手で髪を掻き上げた。


「いい加減…察して貰いたいんだけれどな」


「は?」


「判らない?」


あたしはこっくりと頷いた。


すると大きい溜息が零れてきた。


「お前さ…此処で随分、俺以外の奴と居るよな」


「へ?」


「俺以外。それ…わざと?」


櫂が、苛立っている。


それがはっきり判るくらいの険阻な表情。


整いすぎた顔立ちは、少し気分を害したたけでもかなりの破壊力がある。


かなり…ご立腹らしい。