正直――
せりを見ていると心が疼く。
オレは「各務刹那」として此の世に生まれ、
生きる為に――
双子の弟の名前…「各務久遠」を名乗った。
そして――今。
オレの中には弟の意識があり、
今のオレは「各務刹那」なのか「各務久遠」なのか、よく判らない。
何処から何処までが本当のオレか。
何処から何処までが弟なのか。
どちらが、愛しい少女を求めているのか。
どちらが、烈しく懺悔をしているのか。
だけど少しでも、オレという意識が優位性を持つのなら、
オレは弟の想いを共に抱き続けたいと思う。
殺したいわけじゃなかった。
いつまでも好きでいて貰いたかった。
言い訳が出来るのなら、ただ「それだけ」のこと。
狂おしい想いは…オレの記憶と重なり、
オレは、せりという存在のおかげで、"融合"したんだ。
オレは刹那であり、久遠である。
消えぬ罪の記憶を背負うのは――
穢れたオレには仕方が無いこと。
それでも君がオレを「久遠」と呼ぶのなら。
オレに"永遠"の名を向けてくれるというのなら。
聖なる慈母の如く、赦してくれるというのなら。
刹那の形骸を見抜き泣いてくれた君の前で、
オレは――
いつまでも「久遠」であり続けたい。

