少しずつ、側に行く。

思うと、年下のくせに、やっぱり男の子。
背が高くて、背伸びしないと唇に届かない。


「キスすればいいんでしょ…?」


「……はい」


「目、瞑って」

言われた通り、山本くんは目を瞑る。

逃げるなら、今のうちだ。
だけど……なんでか、わたしの足は前へ前へと止まらない。


「……最低」


「……知ってます」


「ほんと、最低………」


わたしは、キスをしてしまった。

愛のない、ナイショの契約を………。