「……言うこと…?」


それは、さっきよりも
危険信号のレベルが高かった。けど


「……聞く」


なんで、年下の言うことなんか聞かなきゃいけないの……?

だけど、あのノートの内容がバレるのを避ける方法は、これしかない。

そう言わざるを得なかった。



「センパイ、キスしてください」


こんなことを言うときでも、山本くんはにこにこにっこり。


「………は…?」


わたしの危険信号は、
やっぱり正しかったみたい。


……言うこと聞けって言われたけど、
どうしよう。

できない。


生まれて16年、彼氏だっていたことない。

好きでもない人とファーストキスは、いやだ。


……いやだ。なんて、そんなものじゃ例えられないほど。



「……山本くん、本気ですか」


一応、確認をとってみた。

ここで、「嘘でーす」なんてオチがあるんじゃないかって思ったけど


「はい」


ないっぽい。