「え……っ?」


足下に見える、わたしの影の横に、もう一つの影が。


「スイマセン」


………─この声…。


バッと勢いよく横を向く。


「や、山本くん……?」

「スイマセン。結衣センパイ……、ですよね?」


山本くんは、にっこりと結衣に微笑みを向ける。


「美玲センパイ、借りますね」


そう言うと、結衣の返事を聞く前に歩き出してしまった。

……わたしの手をつかんで。


「あ……。 気をつけてッ」


結衣のニヤニヤ顔が、想像できた。