年下男子とナイショのキス

「それでは、お疲れさまでしたー」


委員長の声を合図とともに、みんな次々と席を立って廊下に消えていく。


わたしも帰ろうと、カーディガンに手を伸ばすと、後ろからギュッと抱きつかれる。


「センパイっ」


抱きついてきたのは、いつもの年下くん。


「……山本くん」

「センパイ、一緒に返りましょうよ?家まで送りますから」


それはもう決定してるらしく、山本くんは自分の帰る支度ができると、わたしの手をギュッと握って離さない。


わたしも急いで帰る支度をする。

全ての準備が整い、鞄を手に取ろうとすると、宙でからぶった。


「あれ?鞄、ない…」


記憶をたどると、


……しまった。教室に置いてきてしまったぁ。