手から伝わる、センパイの震え。


「………センパイ……?」


センパイの目からは、涙が流れていた。


「ほんと……、こわ…っ」


思い返せば、センパイは絶対立とうとしなかったし、窓の外だって見ようともしなかった。


……少し考えれば、わかることだったのに。


気がつかなかった自分がムカつく。

センパイは、絶対に泣かせたくなかったのに。


「………ごめん…」


気がついたら、ギュッと、センパイを抱きしめていた。