山本くんが喋るたびに、吐息が髪を掠める。

そのたびに、わたしの心臓が大きく脈打つ。


ドキドキして、収まったら、またドキドキさせられる。

観覧車の怖さよりも、

山本くんのすべてに身体を支配されてる。



山本くんは、何も言わないで、ずっと抱きしめてくれてる。


………けど。


「……足りない」

「…え………?」


もっと、山本くんを近くに感じたくて。


「…………もっと…」



観覧車は揺れていて、

ずーっとグラグラ揺れていて、


けど。


抱きしめる腕の強さが、山本くんのすべてが。

なんでかすごく、安心できた。