わたしはなんで、ここにいるんだ? 不安定にゆらゆら揺れて、 今にも折れそうな細い棒に支えられている、 小さな箱。 ーー…観覧車だ。 「……センパイ、外見ないんですか?」 「見ない。……やだ」 ただでさえ高いところ苦手なのに……。 こんな、不安定な乗り物に乗って、『楽しい』なんて思う人の気が知れない。 ……グラグラしてる…。 「センパイ、もしかして怖いとかですか?」 「………うっ…」 わたしが声を漏らすと、山本くんはきょとんと目を丸くする。 「………図星ですか?」 「う、うるさいっ」