昨日、実は雅也から電話があったのだ
そしてその内容が、上田ハルナと付き合ったということだった。
ショックで携帯を落としそうになってしまったけれど
あまりに嬉しそうな雅也の声が私にそうはさせてくれなくて。
私と雅也は決して
家が隣同士だとか
幼稚園から一緒だとか
いう密接な関係ではない。
ただ中学から同じクラスというだけで
ただ、運よく仲良くなれただけで
特別な関係ではないのだ。
もしも私が上田ハルナよりも先に告白していたら
なんて、そんなことを考えてしまう
そしたら雅也は私と付き合ってくれたの?
その答えは
雅也にしかわからなくて
それを聞けるほどの勇気は私にはない。
たったひとつ救いがあるとすれば
上田ハルナが違うクラスだということだけ。
この日本史の授業が終われば
お昼休み。
そうしたら雅也は
あの子の元へいくんだ。
私のことなんか見ないで
私の気持ちも知らないで。
もうやめよう、こんな暗いこと考えるの。
伊織の言うとおり、私は
新しい恋をしたほうがいいのかもしれない。
早く、早く雅也を忘れないと
私はもう二度と誰とも恋愛ができなくなってしまう気がした。
視線を小野寺くんへ戻してから
ノートの端に書かれた
森内雅也の文字を
消しゴムで勢いよく消した。
大丈夫
きっと私は雅也を忘れられる
だから少しでも前に進もう

