日本史の授業は
先生が甘いのもあって
真面目に授業を受けてる生徒は少ない。
だから私も、今回は伊織の言っていたことを考えてみることにした。
ノートの端っこに、
小野寺 悠 と書いてみる
うん、名前までかっこいいよ。
ほんと、なんかずるい。
そして少し離れた場所に座る小野寺くんをちらりと盗み見た。
窓際の前から三番目。
シャーペンを片手に、目を伏せていた。
そんな小野寺くんの机の上にはひだまりができていて
……王子、ねぇ?
なんか、雰囲気が優雅っていうか
綺麗なんだ、ようするに。
外国の童話に出てきそうなイメージ。
そして小さく書いた名前の隣に
森内 雅也と書く。
そしてその下に
二人のそれぞれの長所を書き込んでいこうと思った。
雅也は
爽やかで、
誰にでも優しくて
頭は悪いし、そこまでいうほどかっこよくないけど
なんだろう
どこが好きかなんて
そんなの、わかんない
気がついたら好きだったんだから。
小野寺くんは
ただ見た目と名前が完璧ということしかわからなくて
シャーペンを机の上に転がした。
なにやってるんだろ
条件だけなら、きっと小野寺くんのほうがいいに決まってる
それなのに小野寺くんに見向きもしなかったのは
それほど私が雅也を好きだということ。
今まで小野寺くんを見ていたはずが、いつのまにか私の視線の先には
雅也の小さな背中があった。
見たくなんかないのに
無意識のうちに見てしまうなんて。

