嘘つきと王子様



そして、予鈴が鳴ったときだった



教室の前のドアに、



彼らの姿が見えた。



それは、雅也と上田ハルナ。




一瞬心臓を掴まれたように痛んだけれど、すぐに目をそらす。


それに気がついた伊織も


口をつぐんだ。



やっぱり、見るのは辛いもんだね。



そのまま何事もなく終わればいいと、心の中で願っていたのに



その願いはあっけなく打ち砕かれた。



雅也が、



こちらへやってくる。



来ないで、来ないでと



心の中で叫び続けても、彼の足は止まらない



伊織がガタリと音をたてて席を立ったときだった



きっと雅也を追い払おうとしてくれたんだ



「葵」




雅也に名前を呼ばれて





私は唇を噛み締めた。