夢中になって走り続けて


涙で視界が滲んでも、


拭うこともしないで。



ただただ涙を流し続けた。



はたから見れば、私は泣きじゃくりながら疾走する気味の悪い女子高生なわけで


でもそんなこと気にしていられないくらいに心の中は荒らされていた。



どうして私はあそこまでひどいことを彼女に言われなければいけないのか、わからない。



牽制のつもりなのか、それとも本気で私のことが嫌いなのか


でも、もうどちらでもよかった



なぜって


私自身が彼女のことを好きではないのだから、



好かれる必要もないじゃない。



そしてもう一つ、脳裏から離れないのは


私の泣き顔を見たときの雅也のあの呆然とした顔。



大きな黒目を、もっと見開いて



そりゃそうか



私の泣き顔なんて


あんたは見たことないものね。



あんたの知らないところで



私は何度も何度も泣いてたっていうのに。