嘘つきと王子様



「あ、葵!!」


走って教室に戻ると、伊織が心配そうに私の名前を呼んだ



凛太朗も、
同じようにして私を見ていて



また泣きそうになってしまう



「ごめんね伊織、私帰る」



そしてカバンを手に取ろうとしたときだった


なにが起こっているのかわかっていないであろう雅也と


目が合う。



「ちょ、ねぇ、なんかされたの?

って、葵!?」


その瞬間、


私の目からは、とめどなく涙が溢れ出してしまっていた




ねぇ雅也、



雅也のせいだよ



雅也が、入ってこなかったら


私は傷つくことなんかなかったの




「やっぱり、葵


なんかされたんでしょ!?

あーもう!!葵、大丈夫!?」



だけど、


雅也が座ったとき


ほんの少しだけ嬉しいって思った自分がいたんだ


私はね



何もわかってない雅也のことも



最低で最悪な上田ハルナのことも



嫌いだよ



でもね、



雅也のことがまだ
諦められていない私が



どうしようもなく大嫌いだ