「うわー、にしても今日も小野寺くんは神々しいねー」



急に伊織がそんなことを言い出すから目が点になった



「誰?それ」



伊織は私の一言に驚いたようで


あり得ないとでもいうような顔をした


「誰?ってこのクラスの王子だよ?同じクラスだよ?


小野寺くん眼中にないとか……」



そんなの当たり前じゃん


雅也しか興味なかったんだから



首を傾げて、伊織の視線の先にいる人物を見た


うわ、偉そうに足組んで机の上に座ってるよ




「あー

あのひとね」



たしかに、王子と呼ばれるのも納得する外見をしていて



髪の毛は暗い茶色に染めて

ゆるくパーマを当てている


でも私はああいう人間が少し怖い



というよりも、ああいうイケメンの前に立つと


物凄く申し訳なくなると同時に



自信を一気に無くしてしまう



勝手な妄想でしかないけれど



とにかく不細工はこの世から消えろとか思ってそうで怖い。




「どんだけ森内のこと好きだったんだし。


全然小野寺くんの方が
かっこいいじゃん


小野寺くんの足の長さ見てみ?
森内とかあの半分しかないんじゃん?」


「全然。

雅也のがかっこいい


それに雅也も
足長いから」


「あーはいはいそうですか


フィルタかかりすぎだかんね」



そう言って伊織は
呆れたのかため息をついて
顎に手をついた。



でも本当のことだよ


雅也が私の中では

一番かっこよくて


一番爽やかで



一番好きなひとなのに。


それなのに


なんで


上田ハルナなんかと



付き合ったの?




「ね、葵さぁ

新しい恋しなよ」