嘘つきと王子様





「あっ」



二人のそんなやり取りが聞こえてきて


筆箱を床に落としてしまう


そして散らばった文房具を拾い上げる私の姿は

なんて惨めなんだろう


なんて、滑稽なんだろう



一人で勝手に意識して



バカみたいだ



戸惑ったりなんか、しちゃダメ



すると、ふわりと柔らかな石鹸の香りが鼻をくすぐった



すぐさま顔を上げると、
私の隣に小野寺くんも座り込む




「ん、

これも、はい」



「えっと、


あり、がとう…」



「数学わかんないんだっけ?」



「え?」


全て拾い終わると、小野寺くんはそう言った


今まで古典をやっていたはずなのに

数学の問題集を取り出して



「どこがわかんないの」


そう、言ってくれた




やっぱり口調は優しくなんかないし

どこかぶっきらぼうなところがあるけれど


それでも今はそのさりげない優しさが


これ以上にないくらいに



胸の中に染み込んだ