あいつというのは、


凛太朗。



伊織の……彼氏



「うわ、来た


ってか葵そんな嫌な顔しないでよ」


「だってろくなこと言われないって絶対…」



実を言うと凛太朗が少し苦手。


というより面倒。



軽い足取りで教室に入ってくると
凛太朗は遠慮せずに私たちの食事の空間にずけずけと入ってきた。



「あ、葵さん聞いた?
雅也、上田さんと付き合ったんだってねー!

いやー、残念残念!ってかドンマイ!」


「うざい。」


「わお、冷たっ!」


凛太朗のこういうところが


ほんっとに嫌…!


でも憎めない奴なんだよね、なぜか。


「凛、ちょっとうるさい。静かにして。


いま重要な会議中」



「なになに?気になるんだけど!」



「うっさい!いま伊織に言われたばっかでしょ!」



「いつにもまして葵さんこえー」


違う、凛太朗ってあれだ



一緒にいて疲れるタイプ



よく伊織も付き合おうと思ったよね。


「あ、でも


凛、たしか仲良かったよね?」



「誰と誰と?」



「小野寺くんと」