「で、……多分なんだけどさ
私、小野寺くんに名前すら覚えてもらえてない気がする」
「いやそれはないでしょ。
同じクラスになって三ヶ月だよ?
話したことないの?」
「…ないわ」
「まじか、
……まじか…」
多分私がこのクラスで話したことのある男子って
近くの席の人くらいだ。
それ以外は
雅也とばかり話していたような気がする。
お弁当に入ったタコさんウインナーをフォークをぐさりと指す。
これって、かなり脈なしなんじゃないかな。
「とりあえず、葵!
小野寺くんに顔覚えてもらうことから初めようか。うん。」
「…んなこといったって
関わり皆無なんですけど」
「無いなら作ればいいでしょうが!!
少しは考えろ、このどすっぴん野郎」
「…すみませんねぇどすっぴんで!」
それにしても
本当に今さらどうやって関わり作ればいいの
四月ならまだしも
もう期末試験前の七月なわけで
試験が終われば夏休み。
「伊織さーん!」
深くため息をついたときだった
教室の外から、あいつの声が聞こえてくる。