とある國のヒメ


やっと扉までたどり着いた。

・・・たったの数メートルほどの距離なのに。

ファナは扉に手をかけた。


「ファナ。」


早く扉を―――




ガシッ。



ビクッ!!



肩を・・・つかまれた?

何かが動いた気配はなかった。

恐る恐る振り返ると、すぐ後ろに彼はいた。

「どこに行くつもりだと聞いている。まだ話の途中だ。」

怒ってる?

呆れてる?

彼の表情や声色からは何もわからない。

・・・でも!

「カイのところ!とめにいかなきゃ!」

いかなきゃ!

カイのところへ!

ファナは扉にあてた手に力をいれた。

その瞬間、ファナの肩に当てられていた手にも力が入る。

「ファナ、落ち着け。」

後ろからそんな声が聞こえてくる。

落ち着けなんて言われても落ち着けないわ。

「・・・やだっ。」

行くったら行く!

「扉から手をはなせ。」

離さないっ。

「やだっ。」

扉にかけた手にいっそう力をいれた。

「ふん・・・まるで駄々っ子だな。」

私が駄々っ子・・・?

とっさに扉の手をはなし、くるりと彼のほうへ向いていった。

「ファナ、駄々っ子じゃないっ。子供扱いしないでっ。」

子供扱いなんかされたくないっ。