とある國のヒメ


月が雲に隠れあたりは暗闇に包まれた。

カイの顔も暗闇に紛れる。

向こうの方に小さな灯りがぽつぽつと・・・。

王宮の灯りだろうか。

「月、隠れたね。・・・暗い。」

「ああ。・・・怖いのかよ?」

暗くて見えないけど、目の前にあるはずのカイの顔はきっといじわるく笑っていると思う。

「少しだけね。でもカイがいるから怖くない。」

いつもなら言えないけれど、今日は素直になれた。

なんでかな。

たぶん、暗闇が私のことを隠してくれているから。

「・・・っ!・・・ファナらしくないなー。なんか変なもんでも食ったんじゃねーか?」

「たっ食べてないわよ!」

・・・せっかく素直になったのに!

いつもと一緒じゃない。

「そのほうがいいよ。ファナらしいし。」

ファナらしい?

ファナってどんな感じなのかな。

・・・カイはいつもどんな風にファナを見てるんだろう。


月にかかっていた雲が晴れ、辺りが明るくなる。

そして、見えたカイの顔は・・・見たことのない顔だった。

笑っているのか、微笑んでいるのか。

―――っ。

胸のあたりが騒ぐ。

なに?これ?

ファナはカイから顔をそむけた。

なぜ? なに?

自分に問いただしてみる。

答えは、わからない。

心の中で自問自答をくりかえす。

このとき。

胸の鼓動は・・・すぐに収まったけれど。