「本当は兄貴が、来る予定だったんだけど…」

「うん」

「昨日の夜、兄貴に聞かれてさ。
『同じクラスに浅倉沙那ちゃんて居るか』って。
『居るよ』って答えたら、『明日からその子の家庭教師を、やる事になったから』って兄貴が言ったんだ」

「そうだったの」

「ああ」

と頷いて哀川くんが私を見る。

さっきの先生の表情とは違う、いつもの哀川敦士くんだった。