髪の毛を手ぐしで直して再度、私の顔を見る。

「これなら分かる?」

「あ、哀川くん」

髪の毛の色が違うけど、そこに居たのは同じクラスの哀川敦士〈あいかわあつし〉くんだった。

「えー!」

「いい反応だな。浅倉」

「だ、だって…髪の毛の色も違うし、ママが大学生だって言ってたから…」

だから哀川くんのお兄さんだと思ったんだもん、と言うと哀川くんは、またクスクス笑った。