「じゃ」

「うん」

大人になったら、こういう時、キスとかするのかな。

北川君の『ぶっちゅーっとな』をまた思い出してしまった。

「どした?」

「ん?ううん。なんでもない」

「じゃあ」

「うん。ばいばい」

「うん」

口ではお互いばいばいしてるのに、私達は手を繋いだまま。

距離が近づけば近づくほど、離れるのが寂しくなるんだって初めて知った。

「俺、今日手洗うのやめようかな」

「えぇ?」

「風呂も、こうやって入る」

柚木君はそこで私の手を離し、繋いでいた手を空に向かって上げて見せた。

「なんて。へへ」