お風呂に入り、後は寝るだけ。

ベッドに入り、明日は8時からバイトの為に7時に目覚まし時計をセットして寝る事に。



「沙亜矢、起きてるか?」



しかしお兄ちゃんに呼ばれて起き上がり、カーテンを開いた。

お兄ちゃんは私を見上げ、リビングを気にしながら、顔を近付けるように手招きして来た。



「どうかした?」



「ネックレスは肌身離さず持ってろ」



「え?」



…大切にしまって置きたかったんだけど。



「親父に売られたら困る」



「……そっか。わかった」



あの人なら売りかねない。

母親が通帳を管理していて、お小遣いは月に2万円。

でも父親には足りない金額で、私だけじゃなく、お兄ちゃんからもお金を巻き上げてる事は知ってる。

しまってたら、売られるのも時間の問題。

私はベッドから降りて、ネックレスを首に嵌めようとした。

でも、もしもヤられた時に取られると思ったら、嵌めるのが怖い。

余ってたポーチに入れて、ちょっとしたカモフラージュ。

それから鞄にしまった。

お兄ちゃんから貰ったプレゼントは、絶対に売らせない。

父親の酒代に変わるなんて、あり得ない。



「…………」



航空会社に就職する事が出来たら、こんな心配がなくなるんだろうか。

大切なモノが、守れるようになれるのかな。

…でもな……。

やっぱり私は、簡単に離れたくない。