幕末恋絵巻〜叶わなかった運命の恋〜 土方歳三 君菊 編

「あぁ。そう言えば、高松屋の団子があったな。」
「高松屋…」
高松屋。私が前にいた、私を引き取ってくれていた団子屋。
お母様は元気だろうか…。
「お母様は元気でした?」
近藤さんに伺うと、私は直ぐにすみませんと誤った。
近藤さんが団子を買いに行く暇があれば、こんなに新選組は忙しくない。
「あぁ。見回りの時に総司が土産で…」「沖田さんが?」
そう言えば、沖田さん、お団子好きだったなぁ。
「私は団子でもとってくるか。」「いい。俺が行く。」「それよりこの子を見ていてくれ。」「?!」2人っきり…?ぇ…。
「ったく…」
近藤さんが団子を取りに行く間、2人っきりだった。
「本当に…。助けてくれてありがとうございます。」「や…別に…。」
私の顔さえ見てくれない。
「土方さん…。私の顔さえ見てくれない…」「え?」
ビックリした様な顔も愛しい。
「悪かったよ…。」
そうさり気なく言うと、またシーン…としてしまった。
「なにか…お礼なんて出来ませんか?」「ねえよ。怪我人はジッとしてろ。」「嫌です!」屯所には沢山の隊士が生活しているってのに…。大声を張り上げた私はズルい。「ったく…!分かったよ…。怪我治ったらな。」
私の頭をポンポンと叩き、微笑んだ。
私は居ても立っても居られなくなり、土方さんによ寄りかかった。
「こんな事ダメだって分かっています!でも…。ほんの少しだけ…「ッ…!」