「どうしましょう!ああああぁッ!」
陸奥姉が走りながら、雑巾で階段を拭いていた。
「陸奥姉?」
階段の隅で陸奥姉に話しかけた。
「ああああぁ!咲!なんでまだこんな格好!」
陸奥姉は慌てて私を部屋へ連れていった。
「なにかありまして?」「お殿様…いや、幕府のお偉いさん方が今日、松島屋へくるだよ!ほんでもって、街で見かけた君菊とやらのおなごに一度、あって見たいだとさ!」「ホンマ?!」
そんな会話を陸奥姉がしている中、無我夢中で化粧をする。
「今日はたんと、働いてもらうからさぁ!アッコに有る鶴の着物着ておいでな!」「はい!」

まさかこの後、あんな事が起きるとは思わなかった。